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早春の彦根城と山東盆梅展  

2006.3.6
 交野市文化連盟のバスツアーで、早春の近江・湖北路を廻って来ました。
朝から生憎の雨模様でしたが、彦根城内の名勝玄宮園より雨に煙る彦根城天守閣の勇姿を仰ぎ見て、井伊直弼が青年時代を過ごしたと言う、埋木舎・直弼の歌碑などを見学。東洋一の大きさを誇る米原市の醒ヶ井養鱒場では、鱒尽くしの昼食を戴き、虹鱒、イワナ、アマゴなどが群泳している清流や池を廻り、最後に伊吹山の麓、鴨の里・山東盆梅展を鑑賞してきました。

幕末安政の大獄で有名な彦根藩十三代藩主である大老井伊直弼など、時代と共に幕府の中核となる人物を輩出した徳川家譜代の井伊氏三十五万石の居城である彦根城は、市街地北部の琵琶湖湖畔に望み、今も往時のままの美しい姿を、満々と湛える濠の水面に映し出している。

彦根城は天守だけでなく多くの櫓を残しており、城郭としてのまとまった美しさを今日に伝える数少ない遺構の一つである。

井伊氏によって築かれた彦根城は、そののちの明治維新を迎え、廃藩置県まで一度の領主替えもなく井伊氏十四代が在城し続けた。
 新政府の廃城令によって、姿を消していく城のなかで、今なおその雄姿を見ることの出来るのは、明治11年の廃城撤去の寸前に大隈重信が視察し、その名城の消失を惜しみ明治天皇に、その旨を奏上したことにあった。
井伊直弼ゆかりの玄宮園・槻御殿と埋木舎
玄宮園 琵琶湖の近江八景を模した大名庭園
かっては、藩主が客人をもてなした茶室(鳳翔台)の奥にそびえる彦根城・天守閣
埋木舎・直弼が藩主になる前に過ごした埋木舎(うもれぎのや)
井伊直弼が17〜32歳までの15年間を過ごした

直弼が生まれ育った槻御殿

藩主の子も世子のほかは、他藩主の養子に行くか、臣下の養子となり、その家を継ぐか、寺に入るのが常道とされていた。行き先のきまらない子は、父が藩主の間は下屋敷(槻御殿)で一緒に過ごすが、兄が藩主になると城下にあった控え屋敷に入って三百俵の宛行扶持(あてがいぶち)で暮らすのが、藩の決まりであった。

埋木舎は「いろは松」から佐和口へと進み、堀に沿って右に曲がると、堀に面して建つ井伊家の控え屋敷の一つ。北の御屋敷とか、尾末町屋敷とか呼ばれていた。

控え屋敷であるから下屋敷(槻御殿)のような立派な建物でもなく素材も一段下で、お殿様の住居としては質素だと言われている。往時の建物が昭和59年の雪でつぶれたので全面的に解体修理され、直弼が使っていたころのように復元された。この館は明治の初め、下げ渡されて、大久保氏の所有になっている。

直弼は17歳の時、父直中(11代)が死に、弟直恭とともにここ北の御屋敷に入る。3年余りして養子の話があるというので2人は江戸に行った。弟の縁継ぎが決まり、日向国(宮崎県)延岡の内藤家7万石の養子となり、間もなく延岡藩主となる。

直弼はしばらく江戸にいたが、彦根に帰る。世に出ることもない埋もれ木と同じだとして、北の御屋敷を「埋木舎」と名づけ、自分には「為(な)すべき業」があると精進した。

禅の道では「有髪の名僧」と言われるまでに修行し、茶道は石洲流に学んだが、質索を旨とするべきだとして「茶湯一会集」を表す。一会集に出てくる「一期一会」「余情残心」「独座観念」などの言葉は、よく知られているところである。居合は新しい流儀「新心新流」を立てる。その他、乗馬、槍(やり)、弓術、和歌、能、書、湖東焼、楽焼、さらには洋学、国学など一日4時間眠るだけで足りるとして励んだ。

30歳のとき、兄直亮(12代)の世子直元が死去し、残るは直弼ひとりということで兄直亮の世子となる。埋もれ木の身に、予期しなかった藩主になる運命がめぐってきたのである。

そして、嘉永3(1850)年、兄直亮の死により13代藩主となる。時に35歳であった。

  ※平成の彦根城大改修WEBを参照させていただきました。 (郷土史家・谷澤 實) 記して謝しします。

あふみの海  磯うつ浪の  いく度か
御世にこころを  くだきぬるかな

万延元年正月、大老は自分の肖像を狩野永岳に画かせ、みずからこの歌を替て井伊家菩提寺
清涼寺におさめた。 歌の意は、大老就任以来、次々と押し寄せる難問にその都度全力を尽くして
来て悔いは残らなかった。この3ヵ月後の3月3日、江戸城桜田門外で兇刃に倒れた時の
大老の心境はこのように澄んでいたことでしょう。
いろは松
表門に向かう中濠の沿道の松並木で47本あったのでこの名がつけられた
現在は34本が残り、当時の面影が偲ばれる
湖北に早春の訪れを告げる風物詩。今回で24回を迎える鴨の里盆梅展は、
盆梅愛好家三十名余りが中心となり、丹精こめて育て上げた盆梅をより多くの人々に
鑑賞していただくため、一堂に持ち寄り開催したのがはじまりです。
盆梅は推定樹齢三百年の老木を含め約三百鉢の中から見ごろにあわせ厳選して
約百十鉢を展示していただいております。 (盆梅展案内より)

暫しの間、ごゆっくりと素晴らしい盆梅の数々をご覧ください!

梅の香りが充満する会場は観光客で賑わっていました
樹齢300年を越す盆梅も展示されいる
桃色と白色の花が同時に咲いた梅

最後までご覧戴きまして誠にありがとうございました!

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