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広報 かたの 特集シリーズ

広報かたの 平成21年5月1日号

今月のテーマ「東倉治遺跡と倉治遺跡」
(財)大阪府文化財センター 三好孝一
 

先月から始まった「発掘!発見!緑立つ道」、今月からは第二京阪道路に関係する市内の遺跡について、北側から順に紹介していきたいと思います。
 まずは、交野市の北東部、東倉治遺跡と倉治遺跡を紹介します。 

 

東倉治遺跡

 東倉治遺跡は、東倉治1丁目一帯に広がっています。
 この場所には、ここの東にある清水谷古墳があることや、警察学校の周辺に土器片が散布していたことから、遺跡があることが古くから知られていました。
 今回の発掘調査では、大きく次の3つに分けられる時代の遺構・遺物が見つかりました。

 
 
弥生時代後期〜古墳時代前期
 弥生時代後期(3世紀)の円形竪穴式住居が1棟見つかったほか、古墳時代前期(4世紀)の穴が見つかりました。この穴は、中に炭が詰まっていたことから炉の跡だと考えられています。
 また、これらの時代の土器が多く埋没した谷も見つかり、その中には数多くの土器や、左の写真のようなガラス製の小さな玉や、棒状に加工した石の真ん中に穴を開けた管玉と呼ばれる当時のアクセサリーも含まれていました。この時代はちょうど邪馬台国の女王、卑弥呼がいた時期と重なります。

ガラス玉、管玉の実測図

ガラス玉、管玉
古墳時代後期〜飛鳥時代 
遺跡から、火を受けたために壁面が真っ赤に焼け、底に炭の溜まった四角と丸い形をした穴が見つかりました。
 小さな土器片しか見つからなかったため、遺物からくわしい時代の特定はできませんでしたが、炭を放射性炭素年代測定法という理科学的方法で分析した結果、古墳時代後期(6世紀前半)〜飛鳥時代(7世紀中ごろ)のものであることが判明し、この時代の人が残した、たき火の跡だと分かりました。
東倉治遺跡のたき火跡
飛鳥時代以降
 飛鳥時代から後に、厚い砂のたい積が見られました。
 このことから、付近で数回にわたる土砂災害が起こったことが分かります。それらの土砂がたい積していく途中の地層からは、平安時代の土器や中世の犬の骨、畑の跡などが見つかり、やがて現在の地形になっていったことが分かりました。

倉治遺跡

 倉治遺跡は倉治1丁目付近に埋もれている遺跡で、周辺には古墳時代後期の倉治古墳群が存在していました。
 今回の第二京阪道路建設に先立って行われた調査では、免除川の流れに押し流された大量の土砂により地中深く埋もれた場所から、弥生時代後半から近世にかけての次のような遺構・遺物が見つかりました。

 
古墳時代中期
 南北7・4・、東西6・5・の範囲を小さい溝で区画した長方形の遺構が見つかりました。形からは竪穴式住居跡の可能性も考えられましたが、内側に柱穴や炉の跡がなかったことから、それとは別のものと考えられるようになりました。また、周辺からは下図に示すような古墳時代中期後半(5世紀中頃以降)の土器などがたくさん見つかりました。
 市内でこれと同じ時期の遺跡としては、製鉄遺跡としてよく知られる森遺跡があります。このころは府内の南河内や和泉に古市古墳群・百舌鳥古墳群と呼ばれる巨大な前方後円墳が次々と作られている時期でもありました。

古墳時代中期後半の土器

長方形の遺構
 
古墳時代後期
 この時代の地層には、特徴的な遺構は見つかりませんでしたが、遺物は、古墳時代後期(6世紀中頃以降)を中心とする土器がたくさん見つかったことから、この周辺に当時の集落が埋もれている可能性が高いという調査結果が得られました。
 
中世〜近世
 周辺一帯が順に耕地化されていき、私たちが一昔前まで目にすることができた昭和の時代の風景が形作られていった様子が明らかにされました。
 
 次回は鎌倉時代の大規模な集落跡が見つかった有池遺跡と古墳時代後期を中心とする竪穴式住居跡や掘立柱建物のほか、朝鮮半島の新羅から伝わった陶質土器などが出土した上私部遺跡の発掘調査結果について紹介します。
 また、質問などのおはがきもお待ちしています。気軽に下記まで送ってください。
 

私部南遺跡現地公開

と き 5月16日(土)午後1時〜3時〈小雨決行〉
集 合 午後1時に私部森南線沿い西側、第二京阪道路工事区域内(下地図参照)
※車での来場はお断りします。
内 容 古墳時代の建物と、出土遺物を公開、子ども用展示コーナーなど
問い合わせ 大阪府文化財センター京阪調査事務所(TEL895・1200)

問い合わせ R大阪府文化財センター京阪調査事務所
 (TEL895・1200 〒576−0022 交野市藤が尾1−2)

 

大阪ミュージアム構想

 大阪府と府内の市町村は、大阪のまち全体を「ミュージアム」(美術館や博物館)として、各地の魅力的な地域資源を「展示品」や「館内催し」に見立て、大阪の魅力アップを図る「大阪ミュージアム」構想を推進しています。
 交野市では、「教育文化会館」以外にも「私部代官屋敷周辺のまちなみ」「交野山と信仰の道」「交野が原と七夕まつり」など16件が、現在登録されています。教育文化会館では、市内の大阪ミュージアム情報も併せて発信していきます。
■大阪ミュージアムホームページ http://www.osaka-museum.jp/index.html

 

住 所 交野市倉治6−9−21(教育文化会館内)
▽JR津田駅から徒歩10分
▽交野市駅から、京阪バス「津田駅」行き、「南倉治」下車、徒歩1分
▽ゆうゆうバス、倉治コース、「南倉治バス停」下車、徒歩1分
開館時間 午前10時〜午後5時(入館は4時30分まで)
休館日 月曜日・火曜日・祝日・年末年始
問い合わせ 文化財事業団(TEL893・8111)か、同展示室(TEL810・6667)

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