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広報 かたの 特集シリーズ

 
 交野市立教育文化会館は、国の登録有形文化財であり、今年1月27日には、大阪ミュージアムにも登録されました。
 これを記念し、「大阪ミュージアム(教育文化会館)活用事業」として、21年度は、(財) 大阪府文化財センターに協力していただき、さまざまな事業を実施することになりました。
 その一環として、第二京阪道路用地内で見つかった遺跡や出土した遺物などの紹介を1年間、同センターのみなさんに担当していただきます。
 
今月のテーマ「第二京阪道路の建設と埋蔵文化財の調査」
(財)大阪府文化財センター 山本彰
 
大阪府文化財センターって
 交野市のみなさんこんにちは。(財) 大阪府文化財センターです。
 府文化財センターは、昭和47年に設立された大阪府の出資法人で、これまで、府内で行われる大規模な公共事業に伴う発掘調査を実施してきました。
 今回の連載のきっかけとなった第二京阪道路は、京都と大阪を結ぶ道路ですが、埋蔵文化財の調査部門で当初からかかわりあっています。
 第二京阪道路内の遺跡の取り扱いについては、ずいぶん古い段階から、事業者と大阪府教育委員会が話し合い、できる限りそれまでわかっていた遺跡を避けるように計画されたと聞いています。しかし、実際に調査をしてみると、当初遺跡として把握されていなかった場所からも、続々と遺跡が見つかりました。交野の上私部遺跡は、この最たる例といえます。
 想像以上に遺跡が多く見つかったため、調査体制を強化する必要が生じました。このため、道路が建設されると受益する京都市や大阪市などからも職員を派遣してもらい、道路建設が遅れないように発掘調査をおこなってきました。
 この記事をみなさんが読んでいるころには、現地の調査は、交野市の私部南遺跡と枚方市津田遺跡の一部を残すのみとなり、平成11年から始まった発掘調査も、予定通り終息をむかえることになります。
第二京阪道路内の遺跡分布図

大阪ミュージアム構想

 大阪府と府内の市町村は、大阪のまち全体を「ミュージアム」美術館や博物館)として、各地の魅力的な地域資源を「展示品」や「館内催し」に見立て、大阪の魅力アップを図る「大阪ミュージアム」構想を推進しています。
 交野市では、「教育文化会館」以外にも「私部代官屋敷周辺のまちなみ」「交野山と信仰の道」「交野が原と七夕まつり」など16件が、現在登録されています。教育文化会館では、市内の大阪ミュージアム情報もあわせて発信していきます。
■大阪ミュージアムホームページ http://www.osaka-museum.jp/index.html

これまでの発掘調査
 第二京阪道路内遺跡のうち交野市内で発掘調査を実施したのは、東倉治遺跡・倉治遺跡・有池遺跡・上私部遺跡・私部南遺跡・平池遺跡の6つの遺跡です。
 東倉治遺跡では、弥生時代後期後半(3世紀)の円形竪穴住居や土器、古墳時代前期(4世紀)の炭を多く含んだ炉が見つかっています。
 倉治遺跡では、顕著な遺構はなかったものの古墳時代後期(6世紀)を中心とした土器が出土しており、近辺に集落の存在が予測されることとなりました。
 有池遺跡では、平安時代後期から鎌倉時代(12〜14世紀)にかけての集落跡が見つかっています。
 上私部遺跡では、遺跡内のほぼ全域で古墳時代中頃から後期(5〜6世紀)にかけての方形竪穴住居、飛鳥時代初め(7世紀)の濠に囲まれた掘立柱建物群が掘り出されたり、朝鮮半島の新羅で作られた土器によく似た土器が出土したりしていることから、当時の首長層の住居地であったことが分かってきました。
 私部南遺跡では、弥生時代(前6世紀〜3世紀)の円形竪穴住居・水田・河川が発見されています。また、弥生時代の住居以外にも、古墳時代後期の方形竪穴住居や多数の掘立柱建物が極めて濃密な状況で見つかり、古墳時代には大規模な集落が営まれていたことが明らかとなってきました。
 平池遺跡では、古墳時代後期から中世(15世紀)の遺構が見つかっています。
上私部遺跡
私部南遺跡
調査地の公開と報告書の作成
  読者のみなさんの中には、すでに参加された方もいるかと思いますが、発掘調査を行った遺跡では、可能な限り現地の公開に努めてきました。
 これまで、有池遺跡で1回、上私部遺跡で2回、私部南遺跡で8回の公開を実施し、18年1月にはいきいきランド交野で出土品の展示も行いました。
 また、発掘調査後はすみやかに遺物整理を実施し、調査の成果を網羅した報告書を作成しています。
現地公開の様子(私部南遺跡)
これまでに刊行した市内遺跡の報告書
 
公開イベントと広報連載の予定
交野市と私たちが協力して、講演会とシンポジウムを10月に、展示会を前半期として7月〜10月に、下半期として12月〜22年3月に開催します。
 今後の広報の連載内容は、遺跡や遺物の紹介だけではなく、講演会を振り返ったり、展示会の列品解説などを企画しています。
 講演会や展示会に広報紙を持ってくれば、2倍、3倍楽しくなるような原稿内容にしたいと思っていますので、ぜひ保存しておいてください。
 では、次号以降、具体的な遺跡の様子や出土品を紹介していくことにしましょう。
 なお、記事内容に関する質問などがあれば、左記まではがきをお送りください。
問い合わせ (財)大阪府文化財センター京阪調査事務所(TEL895・1200 〒576−0022 交野市藤が尾1−2)
 

住 所 交野市倉治6−9−21(教育文化会館内)
▽JR津田駅から徒歩10分
▽交野市駅から、京阪バス「津田駅」行き、「南倉治」下車、徒歩1分
▽ゆうゆうバス、倉治コース、「南倉治バス停」下車、徒歩1分
開館時間 午前10時〜午後5時(入館は4時30分まで)
休館日 月曜日・火曜日・祝日・年末年始
問い合わせ 文化財事業団(TEL893・8111)か、同展示室(TEL810・6667)

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