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寺・傍示地区編 |
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交野郷土史かるたを地区別に紹介する「かるた郷土史めくり」の第6回は、寺・傍示地区です。寺地区には車塚古墳や寺古墳群など古墳時代中期から後期にかけての古墳が点在します。また、傍示地区は大和国へと続く交通の要で、その道は大和側からは傍示越と呼ばれていました。 両地区には国指定の重要文化財もあり、交野の歴史を語る上で非常に重要な地区です。
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山添家 |
寺地区の山添家住宅は昭和44年に国指定重要文化財となりました。 山添家が建てられたのは、宝永2年(1705年)と、今から300年以上も前の建物です。 この屋敷の特徴は、その間取りにあります。「田」の形をした4つの部屋にもう一間、東に突き出た角屋(奥座敷)を持ち、重要な会合などで使われました。 こうした形の住宅は18世紀から河内の庄屋クラスの住宅で流行したもので、山添家住宅は現存する住宅として最古のものとなります。 また、庄屋クラスの屋敷は、今でいう役所の機能をもったものでした。 いろいろな会合が開かれたり、村人が年貢を納めに来たりと、多くの人が出入りした場所でした。したがって、広い土地に立派な屋敷を建てることになります。 今でも、堂々とした茅葺の屋根や土間などは見るものに威圧感を持って迫ってきます。 |
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寺の集落から奈良県へと竜王山の山腹を抜けていく山道を、かいがけ(峡崖)の道と呼んでいます。 つづら折れになった登り道を抜けるとそこは傍示の里で、道行く人々の疲れを癒してくれるような石仏に会うことができます。 絵札の石仏は、里からさらに歩みを進めた奈良との県境付近にある傍示共同墓地の入り口手前にあります。 2つの石仏のうち、手前の石仏は「天正地蔵」と呼ばれている天正4年(1576年)に造られた石仏です。 一方、奥の石仏は優しい顔立ちで、親しみを込めて「微笑み地蔵」や「スマイル地蔵」と呼ばれています。この石仏は永禄4年(1561年)に造られています。 どちらの石仏も像の周囲に逆修の文字が見られ、死後の往生や成仏を願って生きているうちに行われた逆修供養の石仏であることがうかがわれます。 交野市史民俗編には「土地の人たちは、この微笑み地蔵を『生前どんな人であっても、死んだら笑って迎えてくださるお地蔵さんだ』といっている。だから傍示の葬列は必ずここを通る習わしになっている」と書かれています。
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天正地蔵・微笑み地蔵
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交野山の南が旗振山、さらにその南にお椀を伏せたような形の山が竜王山です。 竜王とは八大竜王のことで、古代インドではナーガという半身半蛇の形でしたが、中国や日本を経て今の竜の形になりました。昔から雨ごいの神様としてまつられています。 寺村の雨ごいは傍示村と共同で、竜王山の山頂で行いました。「村中不参なし」といって、各家から必ず1人は参加しました。 参加者は、かいがけの道を太鼓をたたきながら登り、山頂につくと火を焚き、全員で「雨たんぼ、じょおいの、雨たんぼ、じょおいの」と大声で唱えながら、雨ごい石の周りを回ります。 雨が降れば神様へのお礼に、子ども相撲か、お千度(雨ごい石の周りを千度回る)をします。どちらにするかは、くじで決めたそうです。
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竜王山の頂上に、いばり石という大石があります。 この石には穴があいており、雷神が小便をかけたので、石に穴があいたのだといわれています。 また山頂近くには「べんけい岩」と呼ばれる岩があります。岩の西よりにできている足跡らしいくぼみが弁慶のわらじ跡だといわれています。 昔の人は、なぜ大きな石にこんな跡があるのかと不思議に思い、雷神や弁慶など、超越した力を持った者の仕業として、自らを納得させていたのでしょう。 |
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傍示とは、もともと「?示」と書き、境目を表す言葉です。大和と河内の国境に傍示の里はあり、この地名は石清水八幡宮領三宅山と興福寺領鷹山庄の境目を示す印が立てられたことに由来するといわれています。 大和側(現在の生駒市)を「東傍示」、河内側(現在の交野市)を「西傍示」と呼んでいました。 かるたにある伊丹一族とは、室町時代の末、15代将軍足利義昭に味方して、織田信長と敵対していた、摂津国伊丹城主伊丹親興の一族のことで、信長に攻められ、城は陥落し、親興は自害しましたが、残された伊丹一族の一部がこの地区へ隠れ住んだのが村の始まりといわれています。 |
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広報紙での交野郷土史かるたの紹介とあわせて、かるた札にちなんだ史跡などへの見学会を行います。歴史解説ボランティアと一緒に、市内の歴史散策に出掛けてみませんか。 と き 10月22日(金)午前9時30分〜正午 コース 河内森駅→山添家住宅(外観)→住吉神社→かいがけの道→傍示→河内森駅 定 員 先着30人 参加費 100円(保険代) 申し込み・問い合わせ 9月21日(火)午前9時から、文化財事業団(TEL893・8111)
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