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広報 かたの 特集シリーズ

広報かたの 平成23年4月1日号

 
No.1〜旧石器時代のハンター〜
 今月号から、昔の人々の生活の痕跡や、遺跡から出土した色々なものから分かった交野の歴史を、それぞれの時代ごとに子どもにも分かりやすく紹介します。
 また、「来て・見て・触れて むかし探検」と題しているとおり、この連載と連動して、交野の遺跡を歩く「遺跡たんけんツアー」や、実際に石器などの発掘出土品に触れる「考古学教室」を計画しています。子どもはもちろん、ぜひ大人も「来て」「見て」「触れて」、歴史を体験してみてください。
 まずは、5月に「遺跡たんけんツアー」の参加者を募集します。



図1 旧石器時代終わりごろの日本列島

 第1回は、旧石器時代の交野がテーマです。
 旧石器時代は、石をたたき割って作った道具である石器を使って、狩りをしながら生活していた時代です。

 旧石器時代は、今よりもずっと寒かった氷河時代が終わる頃で、海の水が凍っていたので、海の表面は今よりも100メートルくらい低くなっていました。
 そのため、現在の大阪湾や瀬戸内海は陸地だったと考えられています。

 このころの地層からは、オオツノジカやナウマン象などの人間よりもずっと大きな動物の化石が見つかっています。

 交野からは動物の骨はまだ見つかっていませんが、旧石器時代の交野の人たちも、これらの大きな動物を狩って、ハンターのような生活していたのかもしれません。

 交野で見つかっている一番古い遺跡は、この旧石器時代の終わり頃の遺跡で、約2万9,000年〜1万5,000年前のものです。神宮寺遺跡と星田にある布懸遺跡の2つが有名です。


神宮寺遺跡 じんぐうじいせき

図2 ナイフ形石器と使い方



神宮寺といえばブドウ畑が有名ですが、まさにその畑の地下に、旧石器時代から縄文時代の遺跡が残されています。
旧石器時代の出土品としては、神宮寺から交野山へと続く「石仏の道」の登り口近くのブドウ畑で、ナイフ形石器(図2)などが採集されています。
このナイフ形の石器は、狩りのときには木の棒の先につけて投げ槍として使ったり、狩った獲物の皮をはぎ取り、解体するときの包丁として使ったりと、旧石器時代のハンターにとっては欠かせない道具だったとみられています。

布懸遺跡 のうかけいせき

旧石器時代の遺跡



 布懸遺跡は、旭小学校のすぐ南側にあります。
 その中でも、NTT星田住宅を建てるときの発掘調査で、旧石器時代の石器が見つかっています。
 ここでは、神宮寺遺跡で見つかった石器よりも、小形のナイフ形石器と、石器を作る元になったとみられる石や、石を叩き割って石器に加工したときに出たと思われる小さな石の破片が多く見つかっています。
 そのため、ここは石器を作る場所だったのではないかと考えられています。

交野山 こうのざん

図3 有舌尖頭器

 交野山では、山頂にある岩の割れ目に刺さっていた石器を、昭和52年に第二中学校の生徒が発見しました。
 この石器は、旧石器時代の終わりごろから縄文時代の始めごろに使われた「有舌尖頭器」(図3)です。
 舌の部分に棒をつけて、投げ槍か投げ矢として、狩りに使っていたと考えられています。
 この頃のハンターが、交野山の山頂まで登っていたのか、後の時代の人が別の場所で拾ったものを、山頂まで運んだのか分かりませんが、みなさんも色々な理由を想像してみてください。

 
 神宮寺遺跡や布懸遺跡のように何万年前もの遺跡が、私たちの身近にあることにびっくりした人もいるでしょう。
 これらの遺跡の周辺には、まだまだ開発されていない地域もあるので、旧石器時代のハンターたちが駆け巡った痕跡で、まだ見つかっていないものもあるかもしれません。
 交野の山などを歩きながら、地面を探してみると石器を見つけられるかもしれません。
 石器やそれらを作った石には、図3の石器の表面にあるような石などで打った跡があります。
 「石器かな?」と思ったら文化財事業団までご連絡ください。なお、遺跡内の地面を勝手に掘ると、法律違反になります。落ちている石だけを探すようにお願いします。

旧石器時代を考古学してみよう
 今回紹介した旧石器時代の遺跡である神宮寺遺跡と布懸遺跡も、市内の高台にあります。
 また、昨年開通した第二京阪道路を建設するとき、市内のとても広い範囲を発掘調査して、多くの遺跡が発見されましたが、旧石器時代の生活の跡は、比較的高い丘の上にある上の山遺跡で少し見つかっただけでした。
 このことから、旧石器時代の人たちは高台で生活していたことが分かります。当時の人たちの狩りをする生活には、見晴らしの良い山のふもとや丘が良かったのでしょう。
 このように発掘などの事実から、順序立てて考えるのが考古学の方法です。来月以降もいろいろなことを紹介しますので、みなさんも自分なりの考古学をしてみてください。

 

歴史クイズ
問題
 図1には、2つ間違いが隠れています。次の5つの選択肢の中から、間違いを選んでください。
 旧石器時代には
  1.狩りに犬を連れていた。
  2.オオツノジカがいた。
  3.槍を使っていた。
  4.日本列島と大陸は地続きだった。
  5.大阪と四国は地続きだった。
 歴史クイズに答えると、正解者の中から抽選で1名様に「ジュニア文化財ガイドブック」をプレゼントします。当選者の発表はガイドブックの発送に替えさせていただきます。

応募方法
 4月28日(木)までに
(1)答え
(2)名前
(3)住所
(4)電話番号
(5)あれば感想・質問
を書いて文化財事業団広報プレゼント係(〒576−0052交野市私部2−29−5、e-mail:bunkazai@city.katano.osaka.jp

問い合わせ 文化財事業団(TEL893・8111)
 

住 所 交野市倉治6−9−21(教育文化会館内)
▽JR津田駅から徒歩10分
▽交野市駅から、京阪バス「津田駅」行き、「南倉治」下車、徒歩1分
▽ゆうゆうバス、倉治コース、「南倉治バス停」下車、徒歩1分
開館時間 午前10時〜午後5時(入館は4時30分まで)
休館日 月曜日・火曜日・祝日・年末年始
問い合わせ 文化財事業団(TEL893・8111)か、同展示室(TEL810・6667)


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