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広報 かたの 特集シリーズ

広報かたの 平成20年4月1日号

今月のテーマ:国登録有形文化財・教育文化会館

ボランティア解説員 平田政信
 みなさんがお持ちのアルバムの中に、何十年も前の古い写真はありませんか。
 そこに写っている人物は、面影だけを残してずいぶん変わってしまっているのではないでしょうか。
 交野の町も一緒で、古い写真に写っている町並みとはずいぶん変わっています。
 今月から、「交野レトロ写真館」と題して、昔の写真とそのころの様子、現在までの移り変わりなどを紹介したいと思います。
 第1回目となる今回は、私たちボランティア解説員のいる教育文化会館を取り上げたいと思います。
教育文化会館の誕生
教育文化会館の南に倉治消防団の建物があります。さらにその南側に、銅像が建っているのをご存じでしょうか。この銅像の人物は、金澤泰治さんという教育文化会館を建てた人です。
 この建物は、昭和4年5月に金澤さんが設立した交野無尽金融株式会社の新社屋として建てられました。無尽会社とは現在の銀行のようなものです。
 鉄筋コンクリートの2階建て(一部3階建て)で、外壁にはタイル表面にひっかき傷のような模様があるスクラッチタイルと呼ばれるタイルがはめ込まれています。
 当時としては大変モダンな建物だったため、近隣に広く知れ渡っていました。

 金澤泰治さんの銅像 
当時の写真

 

右の写真は、約80年前に撮影された、建てられたばかりの教育文化会館で、下の写真が同じ構図で撮影した現在の教育文化会館です。
 写真を見比べると、今は隣に倉治図書館が建ち、敷地を囲う金網や電柱などもできていますが、建物の外観は約80年経ったいまもほとんど変わっていないことが分かります。
 外壁の色が全体的に黒くなっていることに、教育文化会館が過ぎてきた年月を感じさせます。


 建設当時の教育文化会館 

 現在の教育文化会館 
 
教育文化会館の移り変わり
 交野無尽金融はその後、政府の勧奨により、昭和17年11月に、交野無尽金融を含め府内の5つの無尽会社と合併し、近畿無尽金融株式会社(現在の近畿大阪銀行の前身)が設立されました。
 この合併のときに、金澤さんは、地元であり会社発祥の地でもある交野の地方自治向上のためにと、教育文化会館の土地と建物全てを、当時の交野町に寄贈し、交野町はこの建物を町役場として使用することになりました。
 その後、昭和45年に庁舎が現在の市役所に移転したことにより、この建物は「交野市教育文化会館」と改名されました。
その後の教育文化会館
庁舎が移転した後の教育文化会館は、図書室や資料室などの文化的な活動施設として利用されていました。
 その後、平成12年から、それまでに寄贈を受けていた民具の展示場として「民具のへや」を設け、平成16年からは考古資料や文献資料を加えて、市の歴史を紹介する「歴史民俗資料展示室」が開設されました。
 また、教育文化会館は屋上の周囲が西洋の城に見られる「切り目」で飾っているのが特徴で、昭和初期の建築様式の多様化を示すものとして国に評価され、平成19年12月5日、登録有形文化財に登録されました。

 民具のへや 
 
付近に残る地名
余談になりますが、教育文化会館の東、倉治郵便局付近には、「大仏町」「大仏坂」という地名があります。
 奈良の大仏と関係した人たちが住んでいた場所ではないかと考える人もいるロマンのある地名です。
 また、教育文化会館のすぐ東南には、「堂前」という地名も残っています。仏像が安置されていたお堂がすぐそばにあったと思われます。歩いてすぐのところには、現在も光明寺や善通寺などのお寺もあり、昔からこの付近には多くのお寺があったようです。

 京阪バスの「大仏町バス停」 
 何気なく撮った写真でも、時が経つと懐かしさを感じる貴重な写真に変わります。
 同様に何気なく撮った写真が歴史を語る上で重要な資料に変わることもあります。
 みなさんの家に、今回の教育文化会館のような昔の交野の風景が写っている写真が眠っていないでしょうか。もし、提供・複写しても良いという写真がありましたらご一報いただけたら幸いです。
 

シリーズで学ぶ交野の歴史
第1回講演会

 歴史民俗資料展示室は「シリーズで学ぶ交野の歴史」と題して、講演会5回、歴史散歩5回、計10回の歴史講座を開きます。
と き 4月25日(金)午前10時〜
ところ 倉治図書館2階 視聴覚室と、教育文化会館
内 容
(1)交野市の歴史
(2)教育文化会館の内覧会
講 師
(1)歴史民俗資料展示室ボランティア
(2)文化財事業団職員
定 員 30人
申し込み・問い合わせ 歴史民俗資料展示室(TEL810・6667)

 
住 所 交野市倉治6−9−21(教育文化会館内)
▽JR津田駅から徒歩10分
▽交野市駅から、京阪バス「津田駅」行き、「南倉治」下車、徒歩1分
▽ゆうゆうバス、倉治コース、「南倉治バス停」下車、徒歩1分
開館時間 午前10時〜午後5時(入館は4時30分まで)
休館日 月曜日・火曜日・祝日・年末年始
問い合わせ 文化財事業団(TEL893・8111)か、同展示室(TEL810・6667)

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