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広報 かたの 特集シリーズ


広報かたの 平成21年3月1日号

今月のテーマ:倉治・源氏の滝と周辺の歴史

ボランティア解説員 中角甫
 1年間連載をしてきた交野レトロ写真館も、いよいよ今月で終わりとなります。
 最終回は、交野八景のひとつ「源氏滝の清涼」として選ばれた滝のある東倉治周辺を紹介します。

交野中学校 滝校舎
 交野山のふもと、倉治公園グラウンドのあたりには、昭和9年に建設された交野愛汗塾(修養道場)の建物を利用して、昭和21年に交野女子専門学校が開校されました。
 しかし、すぐに移設されたので、残った建物を使い、昭和22年4月21日に、学制改革に伴なって交野中学校が開校されました。
 1枚目の航空写真は、昭和32年、創立10周年のもので、「交の中」と書かれているのは人文字です。運動場と校舎は現在、住宅となり、手前の畑は倉治公園の一部となっています。
 昭和36年9月1日の2学期に、今の第一中学校(私部南)へ移転するまで、15年間狭い学校で辛抱しました。
創立10周年時の
交野中学校(昭和32年)
大正時代の料理旅館
  倉治公園グラウンドの北にある三差路を東へ進むと車止めがあり、そこからは車では先に進めなくなります。その場所が、源氏の滝への入り口です。
 大正時代、この入り口付近には、瀧乃家と中村楼という2軒の料理旅館が営業していました。現在は、かろうじて中村楼の建物が一部に残っています。
 2枚目の写真は、戦前の瀧乃家の客室を写したものです。私たち、ボランティア解説員がいる教育文化会館は、当時、交野無尽という銀行でしたが、その商談の際にもこの2つの料理旅館を利用していました。そして、教育文化会館からこの源氏の滝まで電灯が引かれるなど、当時の交野では最もモダンな場所であったようです。
瀧乃家の客室(大正時代)
右の写真と同じ場所(現在)
中村楼の出店(大正時代)奥へ進むと源氏の滝
 
源氏の滝
 
 入り口から、奥へと進むと滝が見えてきます。このあたりには昔、中村楼の出店があり、滝で水遊びをした人が休憩する場所でした。3枚目の写真は、飲み物や果物を売っているところです。そこを過ぎると源氏の滝にたどり着きます。当時は、現在に比べて水量も豊富でした。夏に涼を楽しむのは今日でも変わってはいません。
 この滝が、憩いの場として利用され始めたのは、江戸時代の終わりごろからと思われます。滝付近は、当時の領主で徳川家旗本の久貝家の遊山所でした。江戸時代末期の当主・久貝正典は滝周辺の風情を好み、天保15年(1844年)に「あめつちとともにうこかぬ岩かねに万代かかれ滝のしら糸」という和歌を詠みました。現在、その内容が滝に立てられた石碑に刻まれています。
 また、この滝は古代から修行の場所でもありました。寛文10年(1670年)に刻まれた不動明王の梵字があったり、滝の籠り堂である宜春院があったりとその名残を見ることができます。
大正時代(右)は、滝の水量が豊富だったことが分かります
 
白旗池
 源氏の滝に流れる水は、白旗池から流れ出ています。この池は、星田の大池・新池に次ぐ3番目に大きな池です。面積は2・75ヘクタールで、深いところは水深20・もあります。
 池は江戸時代からありましたが、倉治地区の水不足解消のため、明治43年に改修工事が行われます。そのときの写真が、倉治区に残されていました。
 現在、池の周辺は「いきものふれあいの里」として、野鳥を観察できる絶好のスポットになり、ハイキングする人たちが立ち寄る場所となっています。
明治43年に行われた白旗池の改修工事(右)と現在の様子
 
 今回のレトロ写真は、倉治区と枚方市在住の大梅克義さんに提供していただきました。
 これで、連載は終わりですが、ぜひ、歴史民俗資料展示室にもお立ち寄りください。ご愛読ありがとうございました。
 

おわびと訂正

 「広報かたの」2月1日号30ページ「交野レトロ写真館」の「上の山の辻」の記事に誤りがありました。
 誤りは「徳右衛門」で、正しくは「淺右衛門」です。深くおわびし、訂正いたします。

 

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シリーズで学ぶ交野の歴史第10回講演会

交野の歴史を学ぶ連続10回の講座です。
 最終回となる今回は、源氏の滝を初めとする東倉治地区の史跡を巡ります。
と き 3月27日(金)午前10時〜正午
集 合 午前10時に教育文化会館前(雨天中止)
講 師 歴史民俗資料展示室解説ボランティア
定 員 30人
申し込み・問い合わせ 歴史民俗資料展示室(TEL810・6667 月曜・火曜日は休室)

 

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