正月の南房総千倉海岸

横林寛昭さんから投稿頂きました


 ここ2、3年暮れから正月は、伊豆高原で過ごしていたが、昨年9月中旬にTVで千倉の漁師宿が放映され、即座に申し込んだところ運良く宿が取れた。
千倉海岸は、館山を経て白浜寄りにあり、JR千倉駅からバス停で3、4目の太平洋に面した海岸沿いの町である。

 食事は、海の幸が盛り沢山食膳に並ぶが、アワビと伊勢海老の追加注文をした。
何れの魚介類も獲り立てで、歯応えのいいアワビ、甘い伊勢海老、金目鯛、甘海老などの刺身は、新鮮そのもの美味である。特に、カサゴの煮付けは、料理のプロから教わった味付けで抜群だった。今尚、食感が残っている。
 宿は昔、漁師が50人程居たとあって、女将さんの見事な客さばきと気前の良さで支えている。お湯は、軽いアルカリ性で、身体が温まり温泉気分になれる。お正月の朝は、おとそとお雑煮が振舞われる。お客は、アルコールでほんのりと良い気分になり、日頃の疲れを癒している。常連客が多く、あちこちで楽しい会話の花が咲いていた。

 海岸から山裾に広がる凡そ長さ500mには、畑一面に花つみ用の春花が栽培されている。畑が番号性のブロックに区切られ、各々の畑の花は持主が居て、国道に沿って並ぶ切つみ店で、お客がハサミを借り、好みの花を切って清算する仕組になっている。お店は17店舗並んでいたが、ここ数日は年末と正月のためか、まだ花が咲き始めたばかりも手伝って、店を開いているのは4店舗だった。この他に、畑の中に物置のような小屋が10数軒建てられていて、ここでお客を呼び込み、商売しているところもあった。 

 花は、色とりどりのポピー、白・ピンク・濃赤紫の矢車草、カラー豊かなストック、畑一面に咲いている橙色のキンセンカ達がお花畑を構成しているが、まだ4分咲きといったところだろう。値段は、どの花も7本で300円だから、女性客に人気がある。値段は、市価に比べ格安である。
 花好きな家内は、入念に花選びに時間を費やし、白のストックを中心に、濃赤紫と白の矢車草を14本買った。
家内言わく、ポピーはどんな硬いツボミでも咲くが、花持ちが短いから買わなかった。



<色とりどりのポピー>


綺麗に咲いている花を切ると花びらの散りが早い上、蕾(つぼみ)は水を吸い上げる力が弱いから、咲かないことがあるようだ。時間を掛けて選んだ切花は、3分から4分咲きばかりを選んでいた。大半の女性は、見栄の豪華さで殆ど咲いている花を切っていたが、切花店主が教えるか、花の知識(勉強)が欲しいと痛感した。

 濃赤紫の矢車草が、根付を1株注文したところ、店主は気前良く2株(うち、1株はおまけ)土を付けたまま引き抜いてくれた。東京は寒いから、春先まで日当りの良い室内で育てることにした。



<色鮮やかな矢車草>


 お正月用と自宅近くで買ったストックは、温室栽培だから丈が長く花房が少ない。千倉のストックは、自然の中で育っているから、丈が短く茎が太く、沢山の花房が付き、何日間持つかが楽しみである。



<カラー豊かなストック>


 今、お花畑を占領し一番賑わっているのが、活力色/橙色のキンセンカで、色と花数で中心的存在になっている。



<キンセンカ>


 昨年、伊豆高原の道の駅売店で、水仙約20本が300円と安かったのを見つけ、最終日の帰る日に買い求めようとお店に行ったところ、売り切れで買いそこねた。
自宅近くの花店で正月用に買った水仙が1本100円だったので、安い水仙の切花の売っているお店を探したところ、千倉では1本50円だった。何故か、千倉のお花畑に水仙の切花が見当たらなかったが、道端に自然の水仙の株がタンポポのように群落していて、野花として広がっていたからであろう。



<野生の水仙>


 まだ寒く、一部の花しか咲いていなかったが、これから暖かくなると、千倉のお花畑一面は花と人で賑わうと思う。お花畑の中に居ると、花の香りでミツバチの気分になった。
写真は、カタログから借用したお花畑であるが、写真の手前が千倉海岸で、お花畑の向こうの山裾に民家がある。



<一面に花が咲いているお花畑>

 この小さい集落に、3つのお寺がある。宿泊している漁師宿の遠縁に当る山に向って右端の延命山長性寺を女将さんから紹介され、宿で知り合った常連客の嫁・姑(88歳の高齢とは思えぬ足が丈夫)、家内と4人で参拝した。
長性寺の住職は、参拝者1人ひとりに笑顔で出迎え、お孫さんの名前を呼んで成長振りを褒め、参拝者全員に小冊に製本した暦を提供されていた。初参拝者の僕達にも、暦・とても美味しい甘酒・お茶とお菓子で、心温まるもてなしを受けた。村人達が、住職に挨拶を兼ね家族揃って参拝している姿は、平和そのもので、善人の集落に感動した。そして、田んぼ道ですれ違う村人から、観光客の僕達に、『おめでとうございます』と笑顔の声が掛けられた。



<村人たちを笑顔で出迎える住職>


小さい頃、地元のお寺で鐘をついた記憶があるが、長性寺で60年振りに鐘をつく機会があり、感動に次ぐ感動の連続だった。


<鐘をつきながら子供の頃を思い出す著者>

 一方、千倉地方は、魚市場、海の雑貨、レストランを集めた物産センターの潮風王国といって、道の駅があり、海産店や生きている伊勢海老・アワビ・貝類を詰めて宅配便取り扱いに殺到していた。また、海の幸のレストラン、魚介類のバーベキュ、魚介天麩羅店など家族連れでにぎわっていた。

 元旦は、太平洋の水平線から昇る初日の出を観ようと、地元住民、観光客で千倉海岸はごった返しの人達だった。合掌をしながら、2009年の誓いをした。
即ち、世界同時大不況を真向うから受け止め、高度な複合技術を駆使した増益(売上拡大)と増収(利益拡大)の新しい増益経営理論を発見する(見付ける)、前途輝かしい新年を迎えることに身体が熱くなってきた。


<太平洋から昇る初日の出6:50/千倉海岸より>


PS:僕は、千倉の住民で無いから、説明文に間違いがあるかも知れないが、お許し願いたい。
   2009年1月4日記

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