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広報 かたの 特集シリーズ

広報かたの 平成23年3月1日号


 
星田地区編其之三
交野郷土史かるたを地区別に紹介する「かるた郷土史めくり」の最終回は星田地区の札と、かるたの絵札を描いた絵本作家の森本順子さんについて紹介します。


 慶長20年(1615年)、大坂夏の陣のとき、徳川家康は星田村の領主市橋長勝の進言で、星田村の平井家に宿陣し、そこから出陣しました。
 当時、近隣の村は、家康を宿陣させないために、大坂方(豊臣方)によって焼き払われましたが、長勝はそれを予想し、村の守りを固めていたため、星田村は焼き払いを免れました。
 家康が宿陣した日の夜は大雨で、大坂方の夜襲があるかもしれないと、かがり火を焚いて警戒していました。
 翌日も星田に留まっていると、先発隊として出ていた徳川秀忠からの使者が来て、「大坂勢が遠く城を出て、八尾、久宝寺へ向かったから、こちらは藤堂和泉守や井伊掃部頭が合戦を始めようとしている」と伝えてきました。
 それを聞いた家康は、「城兵が城を出て戦おうとするか。それではこちらの勝ち戦に決まった」と言ったそうです。
 こうして家康は、星田でゆっくりと過ごし、兵を進めました。



旗掛け松(中央)

 激しい戦の前に、高齢の家康に十分な休養を取らせることができた功績は大きく、この地の守りを固めた長勝には、先見の明があったことが伺えます。
 また、そのときに、家康の旗印は新宮山八幡宮の庭の松に掲げられました。この松が「旗掛け松」と呼ばれ、今も新宮山(星田公園)にあります。残念ながら、当時の松はすでに枯れていて、今の松は2代目です。

神祖営趾之碑
 大坂夏の陣から184年後、長勝の子孫、市橋長昭が星田村を訪れた際に、長勝の活躍を知り、その功績を後世に残すために、家康の宿陣地である平井家に、石碑「神祖営趾之碑」を建てました。
 神祖営趾之碑の建立には、長昭の他に、平井家の子孫の平井貞豊、大久保忠真、安部正精という人物が関わっています。大久保忠真、安部正精はいずれも10万石を超える譜代大名で、後には老中(現在の総理大臣のような職)になるほどの人材です。
 平井家と石碑は今も現存しています。また、石碑は、昨年9月に市の指定文化財となりました。石碑については、「広報かたの」平成22年9月1日号で詳しく説明しています。

 連判状とは、同じ思いを持っている人が、誓約のしるしとして自署し、判を押した文書です。江戸時代の終わりごろ、星田村の若者たちが連判状を書き残しました。
 内容は、日常生活の「諸法度」を村の長老たちに誓ったものです。御公儀の法度(法律)を守る、賭け事はしない、両親を大切にするなど、12条の誓いを記し、末尾に署名して、拇印を押しています。


 1年間を通して「交野郷土史かるた」を紹介してきました。
 かるたには交野の歴史がたくさん盛り込まれていて、私たちの祖先がさまざまな困難や試練を乗り越え、日々の生活を営みながら交野の礎を築いて来た証が、かるたの札一つひとつに記されています。
 みなさんも昔の交野を想像しながら、かるたで遊んでみてください。
 交野郷土史かるたは、文化財事業団と教育文化会館で、1部1000円で販売しています。

 

絵本作家 森本順子さん

 「交野郷土史かるた」の絵札を描いていただいた絵本作家の森本順子さんについてご紹介します。
 森本さんは、1932年に広島で生まれ、13歳の時に広島市内の自宅で被爆しました。
 京都市立芸術大学西洋画科を卒業後、交野市の第三中学校で美術を教えるかたわら創作活動を続けていました。
 1977年に交野古文化同好会と教育委員会が依頼して、郷土史かるたの絵を描いていただき、さらに、1981年に発刊された「交野市史 民俗編」にも50点以上の挿絵を描いていただきました。
 その後、1982年にオーストラリアに渡られ、現在はシドニー市内に在住しています。
 森本さんがオーストラリアでの言葉の通じない生活に苦労する中で、ふと頭に浮かんだのが「ヒロシマ」での出来事でした。
 森本さんは「ヒロシマ」で親友の一人を失っています。その人は被爆後、長い闘病生活の末、亡くなりました。親友の死はもちろん、原爆投下後の町や人々の壮絶な姿を決して忘れてはいけないと、森本さんは強く思っていたそうです。
 そして、1987年に描かれたのが「MY HIROSHIMA(わたしのヒロシマ)」という絵本です。この作品は、オーストラリアのほとんどの小・中学校にあるそうです。この絵本がきっかけで、森本さんはオーストラリアの小学校を中心に、戦争の悲惨さや平和についての講演を依頼されるようになりました。
 また、「Kojuro and The Bears(なめとこ山のくま)」などの絵本で、子ども向けの優れた作品に与えられる賞を受賞するなど、オーストラリアで高く評価され、絵本作家・イラストレーターとして活躍されています。
 「わたしのヒロシマ」は市の図書館・図書室にもありますので、みなさんもぜひ読んでみてください。

「わたしのヒロシマ」
森本順子 作・絵
金の星社
22年度企画展示
おひなさま
と き 3月2日(水)〜3月27日(日)午前10時〜午後5時
※入館は午後4時30分まで。月・火曜日・祝日は休館。

ところ 歴史民俗資料展示室

内 容 市民から寄贈していただいた御殿雛・雛道具・市松人形などを展示します。

問い合わせ 歴史民俗資料展示室(TEL810・6667)
 

住 所 交野市倉治6−9−21(教育文化会館内)
▽JR津田駅から徒歩10分
▽交野市駅から、京阪バス「津田駅」行き、「南倉治」下車、徒歩1分
▽ゆうゆうバス、倉治コース、「南倉治バス停」下車、徒歩1分
開館時間 午前10時〜午後5時(入館は4時30分まで)
休館日 月曜日・火曜日・祝日・年末年始
問い合わせ 文化財事業団(TEL893・8111)か、同展示室(TEL810・6667)


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