長野市内から国道18号線を北上、野尻湖を右に見て、
暫く走るともう新潟県である。
妙高山へは、新潟県に入って、JR信越線の妙高高原駅手前を左折し、笹が峰から登るコースと、燕温泉から登る二つののコースがある。
私は、9月の初旬、思い切って妙高山に登ることにした。
午前5時起床。薄暗い中を新潟に向う。
笹が峰の駐車場に車を置き、手早く身支度を整え、午前6時30分登山開始。登山道の入口付近には、数名の登山客の姿があり、その後についた。
樹林帯の中の緩やかな登りを過ぎると、大きなブナの林にでる。
明るくて気持ちのいい道を一気に登ると、きれいな水が沢山流れる黒沢に着く。黒沢で一息いれ、木の橋を渡り、登りにかける。
つづら折りの十二曲がりを、息切りながら、登る。
ペース配分の分からないまま、とにかく前へ前へと。
途中、立ったままで、休み、また登る。
登る気力を振り絞りながら、必死に登る。
やっと、富士見平の分岐点に。晴れた日には、富士山が見えるという。今日は、残念ながら、曇りで見えない。
この分岐点で黒沢池から妙高へと向かう。
黒沢山を左に、手前には黒沢湿原が迎えてくれる。こんな高地にこれほどの広大な湿原があるとは。
しばらく、静かな山の神に抱かれたように、足を投げ出し休息を取る。
ワタスゲがふわふわと揺れている。いつまでもこうしていたい。八角形の黒沢ヒュッテをすぎ、大倉乗越から見た長助池は
箱庭のように苔むした緑の中に、小さな池が沢山あり、整ってきれいだった。
長助池の分岐点で沢山の登山客に逢う。降りてくる人もいる。もう、10時半だった。
頂上までもう一息、急登が続く。少し小雨が降出した。
前の登山客に遅れてはと、あえぎあえぎ、登る。
次第に大きな岩を巻くように登る。もう、頂上は近い。11時半、やっと頂上に辿り着いた。三角点の周りは登山客でいっぱい。
頂上には大きな岩がごろごろしていた。
岩に登って見たが、あいにくの天気で、雲が出て視界がきかない。
雲の切れ間に向って、シャッターを切った。
ついに、妙高を征服したぞ!!
2,446メートル
妙高山は古くは越(こし)の中山(なかやま)と呼ばれた。
その中山が名香(なか)山となり、名香(なか)山では漢詩などに詠み込むのに具合が悪いので、
音読みして名香山(みょうこうざん)となり、 更に、字を飾って妙高山となった。
現にこの山の麓には、今も名香山(なかやま)村の名を存している。
「日本百名山」 深田 久弥著より引用