戸隠山の名の起こりは、天照大御神(あまてらすおおみかみ)が高天ヶ原の天の岩戸に隠れられた時、
手力雄命(たじからをのみこと)が、その岩戸を投げ飛ばして、光を世に取り戻した。
その岩戸が力余って信州にまで飛んできたのが、この戸隠山だと伝えられている。
信州百名山(清水 栄一著)から引用
その後も、市民グランドに出かけて、毎日小1時間程度歩きつづけた。
少しづつ、歩くことに自信が出来てきたように思われた。飯綱山の奥に見える戸隠山、何か神秘的な伝説にまつわる山に登りたいと思うようになった。
車で、戸隠神社に出かけた。
樹齢600年といわれる杉並木の山道をおよそ40分ばかり上がると、戸隠神社(奥社)に着く。
奥社にのしかかるようにそびえる岸壁、こんな所に登れるのだろうか。
社務所の手前に、戸隠山への登り口があったが。八方睨みから戸隠山への・・・。
山と渓谷社の本を買ってきて登山ルートや時間を確認。
山地図に赤線でルートをなぞってみた。
毎晩時間があれば、飽かずに山地図を眺めた。段々登れそうな気がしてきた。
8月の下旬、早朝戸隠山に出かけた。
観光客のいない杉木立を奥社に向けて歩いた。
奥社で手を合わせ登山の無事を祈り、 いよいよ、戸隠山へと歩を進めた。小さな沢を渡り、急な山道を登ると、50分位で五十間長屋、百間長屋と言われる大きな岩の下に出る。
岩の下から見える戸隠山は頂上が霧に隠れて見えない。
百間長屋の下で休んでいた若者4人のパーティを追い越し、暫く行くと鎖場に。
初めての鎖場の登りをいくつかこなし、難所といわれる蟻の戸渡りに着く。幅50センチくらいの狭い稜線を渡るのに、躊躇していると、後ろから来た若者が
元気よく渡っていく。稜線の両側は絶壁だ。高所恐怖症の足はすくむ。
霧が出てきて両側が見えにくくなり、意を決して這いつくばりながら、前進。
やっと、蟻の戸渡りを過ぎたと思ったら、今度は見上げるような剣が峰。
無我夢中、鎖に捕まりながら登る。
上から、登山者に激励されやっと、八方睨みに到着。八方睨みからの眺めは絶好だった。
北には高妻山が目の前に、西にはごつごつした西岳がそびえ、また、北アルプスの白馬連峰の
眺めが美しかった。
| 八方睨みより蟻の戸渡りを見下ろす |